抱っこ紐のアドバイスが難しい理由|育児グッズではなく“発達を支える専門分野”としての視点

赤ちゃんの抱っこ紐を選ぶとき、多くの人がまず見るのは

・何ヶ月からいつまで使えるか
・何通りの抱き方ができるか
・安全基準を満たしているか

といった、製品スペックではないでしょうか。

もちろん、これらは大切な情報で、抱っこひもを選ぶ手がかりになるかもしれません。

でも、説明書通りに使っても、赤ちゃんが落ち着かない、姿勢が崩れてしまう、
大人の身体がしんどい、という抱っこ紐のトラブルは起こりがちです。

それはなぜなのでしょうか。

だっこの学校のベビーウェアリング支援では、製品スペックよりもまず、大切にしている視点があります。

抱っこ紐を見る時の前提

抱っこ紐は、当たり前の”育児準備品”のひとつです。

・素手でずっとだっこするのは大変だから
・だっこやおんぶをしながら家事をする必要があるから
・外出の時使えるように
・泣いた時あやすように

多くの場合、このようなイメージで、抱っこ紐は「当たり前に買うもの」として捉えられています。

私自身も、自分の出産時には同じように感じていました。

でも、抱っこ紐を専門的に学び、実践を重ねる中で、そのイメージは変わりました。

抱っこ紐は、適切に使えれば、

赤ちゃんの発達を支え、時に促し、
親の体の負担を軽減し、日々の育児を大きく助けてくれる道具になります。

ドイツやアメリカの一部では、新生児医療や発達支援現場で活用され、
福祉用具として支給されることもあるものです。

この前提に立った時、抱っこ紐には、説明書や製品スペックだけでは見えてこない、
けれど、抱っこ紐支援の際に大切な視点があることが見えてきます。

ベビーウェアリング支援者が見るのは「赤ちゃんの状態」

ベビーウェアリング支援者として抱っこ紐を見る時に最も注目するのは、

抱っこ紐を使った時に、赤ちゃんはどんな状態でいるのか

という点です。

どこが支えられ、
どんな姿勢になり、
大人への分散はどうなっているか。

新生児、首すわり前、それ以降、、、
発達段階に合わせて、抱っこ紐をどう変化させられるのか。

特に首すわり前に使えるとされている製品には、どんな思想でつくられているのかが顕著に現れるように感じます。

抱っこ紐装着時の赤ちゃんの姿勢は、多くのことを物語ります。

どんなに素晴らしい製品であっても、誰にでも快適に使えるというわけではないのが、抱っこ紐の難しさです。

それは、

・赤ちゃんの体格や発達段階
・大人の体格や身体のくせ
・使用目的や使用時間、ライフスタイル

などによって、フィット感は大きく変わるからです。

抱っこ紐を“専門分野”として考えるということ

抱っこ紐が、

赤ちゃんにどう作用するのか
親の身体や心にどう影響するのか
育児生活にどう関わっていくか

根拠をもとに、全体を見て対応することができたら・・・
それは、説明書通りの使い方を教えるという次元を超え、「支援」や「ケア」になり得ることです。

あらゆる製品に対してどう捉え、どうアドバイスするのか。
すでに養育者が抱っこ紐を持っている場合と、これから選ぶ場合とでも対応は大きく変わってきます。

「抱っこ紐のアドバイスは難しい、自己流でできるものではない」ということは、私の実感だけでなく、実際にベビーウェアリングを深く学んだ医療従事者や育児支援者が口を揃えることです。

親子や保育に関わる専門職で、発達や身体については学んできたとしても、
「抱っこ紐」という道具そのものについて学ぶ機会は、なかなかありません。

授乳、赤ちゃんとの過ごし方、発達、股関節を守る、歯並び、ヘルメット治療、背中の反り。

生後の赤ちゃんを育てる中で生じる多くの悩みは、抱っこや抱っこ紐の支援とつながっています。

だからこそ、だっこの学校の考える「ベビーウェアリング支援」では、「抱っこ紐」をひとつの専門分野として捉え、現場で活用できるようになる学びを大切にしています。